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だらだらつれづれと。
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久し振りのその11
以下、一部の方々のとっては
不快な内容及び表現が含まれます。
ご了承の上で閲覧申し上げます

こちらは続きの方になります
初めての場合はこちらから

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わたしはそこに立ったまま息を整える。


「行け!!!」


彼が叫ぶと同時に走り出した。なんかガタガタと言う岩が動く音がした。


走り出すまではよかった。
しかし、足の感覚がおかしい。足が妙に軽い。
なんと言うか軽いと言うよりブレーキが壊れた自転車に乗っている気分だ。
自分の足がそんな感じなのだ。
油断するとバランスを崩して倒れてしまう。
ひたすらバランスをとりながら進んでいく。

とにかく目の前の道を行くしかない。
バランス崩して転けようが何をしようが進んでいくしかない。
泣いても怒っても悩んでも、進まないといけない。
何も考えてはいけない。


今、走ることだけに集中し過ぎて時間の感覚がない。
足が変に軽すぎて体力が消耗している気がしない。


すごい音がときどき聞こえるが、
なんなのか嫌な予感するが考えたくない。


なんだかんだでゴールにはたどり着いた。
道を塞ぐものはないのだから当然だ。
そして、ガタガタと言うすごい音が聞こえる。


今、わたしの目の前には石の壁。
パッと見た感じ、なにも見当たらない。
わたしは口に懐中電灯をくわえて、照らしながら仕掛けがないか探した。
上の方に手を伸ばしそっちにもないのか感覚を頼りにして探した。


わたしの身長より少し高い、手が届くところに、
何か仕掛けがある。ボタンを押すような仕掛けだ。


----おそらくこの仕掛けを動かせば外に出られるだろう。


空間全体にシャンデリアが壊れるような音が響く。
そして、爆音と何かが燃えるような音。
油の臭い、何かが焦げるような臭いもする。


----押すべきかこのまま待つべきか・・・


このままだとわたしの身の安全も保証できない。


わたしは手を伸ばし、仕掛けを動かそうとした。


・・・・できなかった。手が動かない。
この仕掛けを動かしたくない。
そもそも置いて行けるわけがないだろ!


手を下ろし、荒げる息を整える。
泣きそうになる感情を抑えながら
再度仕掛けに手を伸ばそうとした。


カチッ


何かがスイッチ入る音。
ガタガタ揺れる空間。
地面が動くような不思議な感覚。


----何故だ!?
何故仕掛けが動いた?
真人はまだここに来てないのに何故だ!!?



「おーい、もういいぞ」


頭が混乱しているわたしの後ろから彼の声がした。


「へ?」


振り向くと彼はそこにいた。
まぁ、ところどころ怪我しているがかすり傷程度だろう。
しかも割りと元気そうだ。


「おいおい優等生サマ、やっと気付いてくれたのか。
 凄い集中力だな。何回か声かけたんだけど全く気付かなかったぜ」


「・・・生きてるの?」


「失礼な。言っただろ?オレは死なねえって」


彼は得意気に言った。


「なんかいろいろ凄い音したんだけど・・・」


「あぁ、ガソリン蒔いて携帯酸素ボンベぶつけたからな」


わたしは目を丸くした。


「どうした?」

彼はわたしの顔を覗き込む。


「ガソリンに携帯酸素ボンベ?」


----言葉が出ない。


「ほら、炎って神聖なものだから悪いものを浄化するとか太陽と関連するとか」


わたしはただ目を丸くして彼を見るしかない。


「なぁに。手順はとにかくだ。大事なのは発生源を破壊する事だ」


彼は一息着くと続けた。


「後、言った通りにしてみるもんだ。忠告に従ってよかった」


「どうやらお役にたてたみたいで」


わたしは褒められて悪い気はしなかった。


「そうそう。優等生サマ、オレ、一個だけ言い忘れてたことがあるんだ」


「え?」


彼はわたしの身体を持ち上げる。


「後、一回だけ怖い想いをしてもらわなきゃいけないってさ」


彼はニッと笑った。
そして、ガタガタと言う音。
音がしたと同時にわたしは彼の手によってどこかに投げ込まれた。


「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


絶叫が響き渡る。
真っ暗の中身体が滑っている。
うつぶせの状態で滑り台を滑っている感じだ。しかも、凄い勢いで。


瞬く間に真っ暗な空間から明るいところに出た。


----ドスンっ!


わたしは座布団が積まれているところに頭から突っ込んだ。
座布団のお陰で壁にぶつかってないからあまり痛みはない。
頭から突っ込んだので状況がイマイチ理解できない。


「おっ。今日は白か」


なんか、おしりの辺りがスースーする。
彼の声が聞こえたと同時に身体を急いで起こし、座り込む。
言うまでもなく睨み付ける。


「何、見てるのよ?」


「大体、あの状態でしばらくいるのが悪い」


「ぐっ・・・」


怒りは込み上げるが我慢するしかない。
たどり着いた空間は和室だ。
どうやら掛け軸の後ろから出てきたらしい。
ちなみに結構広い庭も見える。
わたしは急いで靴を脱ぎ、畳が汚れないように手に持った。


「ここはどこ?」


「オレの家だ。茶でも飲むか?」


----なんか腑に落ちないけど、いいや。

わたしは返事をしようとしたが彼の顔が青ざめた。
なんか人の足音がする。


「悪いな!!また後で」


彼は凄い勢いで部屋を出る。
そして、そのままどこかへ去っていった。


----なんか、凄い勢いで跳んで行ったぞ。本当に忍者かなんかか?


「真人の友達か?」


突然耳に入る男の声。
ふと見るとさっき夢に出てきた男の姿があった。
真人の父親だ。当たり前だが夢でみたより老けている。

「あっ、どうも。わたしは真人くんのクラスメイトの聖羅って言います。
 あの、わたし、用事終わったので失礼します!」


わたしはばつ悪く急いでそこを走る去る。


「しかし、あいつも隅に置けないなぁ」


優しい声がわたしの耳を撫でた。


そのまま勢いでバス停に向かい、来ていたバスに乗り込んだ。
ライナー乗り場がある繁華街に向かう。
わたしはバスの中でぐったりしていた。


終点である繁華街に着いた。
そして、バスを降りてライナーの時間を確認する。
わたしが乗るライナーが来るまで半時間はある。


「よう、優等生サマ。こんなところで会うなんて奇遇だな」


ふと、声が聞こえるが無視。
もう疲れた。わたしは一刻早くお家に帰ってベッドで寝たいのだ。


「おいおい、連れないなぁ?」


無視を続けていたところ、彼は更に声をかけてくる。
端から見たらちょっと悪い大人が
学校帰りの女の子を口説いているみたいに見える。


ある意味間違ってない気がするが。


「申し訳ない。わたしは疲れているのだ。連れないとか言われても困る」


わたしは冷静に突き放す。


「まぁまぁ。そろそろ時間も遅い。危ない時間だぜ?」


彼は言ってた。
わたしのような半端ものは人在らざるものたちのご馳走だと。


「なるほど・・・それは脅しかしら?」


息を飲み込みながら聞き返す。


「単にオレと一緒の方がいいって言う話なだけだ。
 腹減ったから、そこで飯食いながら話し合おうぜ」


彼の指差した先には大きなレストラン。
全国チェーンで、ハンバーグをメインにしているところだ。
値段は割といくほうである。わたしが空腹かと言えば否定しない。


「ごめん。持ち合わせない」


「出してやるよ。デザートにプリンパフェとかあるぞ」


プリンパフェの誘惑にのせられかけたその時、
空から黒いものが飛んできた。


「・・・あ」


わたしは知っている。
黒いものの正体はカラスだ。
封筒を持っている。なんか分厚い封筒だ。


「お、きたきた」


カラスは彼に封筒を落とすとそのまま去っていった。
・・・・あのカラス、おかしい。足が三本ある。


「おぉっ!!被害が半端ない割に結構入っているな。
 半分くらいは貯金で・・・今日は贅沢だな」


・・・封筒の中を物色してる。


「それはなんなの?」


「金だ、現金だ」


----見りゃわかる。


彼は封筒をポケットしまうとわたしの腕を掴んだ。


「んじゃ、行こうぜ」


「え?」


わたしは半分引きずられるようにレストランに入った。


----彼との奇妙な関係はしばらく続きそうだ。
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