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だらだらつれづれと。
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久し振りのその5
以下、一部の方々のとっては
不快な内容及び表現が含まれます。
ご了承の上で閲覧申し上げます

こちらは続きの方になります
初めての場合はこちらから

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まずは胸のポケットにしまってあったデバイスを取り出す。
少し操作はしてみたものの、当然電波が入らないから助けは呼べない。


ーーーー真っ暗だし、不気味な気配はするし、どうすればいいのよ・・・・?



そう言えば主を探せって言われたんだ。
この主って言うのが人間なのかそうでないのか・・・・


悩んだところで解決するわけがない。後悔したってどうにもならない。
確か、わたしのデバイスにはちょっとした懐中電灯として使えたハズだ。
周りを照らしてこの辺りを探険するのがおそらくベターな選択肢だ。


デバイスを操作して周りを照らす。周りを見回そうとした瞬間、首の後ろに冷たく固い感覚。



「ーーーー灯りを消せ。死にたくなければな」


後ろから聞こえる静かな男の声。わたしに突きつけられた刃の主だ。
わたしはデバイスを胸ポケットにしまい、両手を自分の肩の位置まであげる。
抵抗するつもりはないと言う意思表示だ。見えているかどうかわからないが。


「ーーーそのまま、じっとしていろ」


しばらく鈍い音が響く。
後ろからカメラのフラッシュのような光が
幾度なく放たれるがほとほと一瞬で、なにも見えない。


情けないポーズを維持したまま、その音が止むのを待った。


ーーーーこの声、どこかで聞いたことがある。


わたしは、自分の勘を信じることにした。


再度後頭部に刃が突きつけられた。
そして、声の主に言われるがままに明るい空間に入った。
その空間には仕掛けがあるのだろう。
ガタッと言う音が響いた。


ーーーー多分何かした?出入り口を塞いだとか。



「さて、お嬢さん、こちらを向いていただこうか?
 なにもしなければ悪いようにしない」



ーーーーあぁ、どうしようかな・・・・


「・・・・はぁい、真人。元気?」


わたしは顔をひきつったまま後ろに振り向いた。
予想通り、そこには見慣れた顔。


「・・・・聖羅じゃねぇか!?何故、こんなところに!!?」


彼は、意外な人物の到来に驚きと困惑を隠せなかった。


ーーーーそりゃ、そうでしょ。


もともと肝試しみたいなことが嫌いな上にこないだの大泣きした一件。
わたしがこんなところに来るわけがない。来ること自体有り得ない。


「なんで、こんなところにいるんでしょう?わたし、わかんない・・・」


彼が抜き身の刃を納めないため、安心と恐怖を入り雑じりながら言葉を発した。


とにもかくにも言っている内容は事実だから仕方ない。


と言うものの、彼も抜き身の刃をしまう気配がない。
警戒しているのだろう。
わたしは未だにその情けないポーズを維持している。
わたしの方を頭の先から足の先までじろじろと見つめる。


ーーーーなんか気のせいか知らないが胸元に刺さる視線が痛い。





彼はしばらく考えからこう言った。


「オレから3つの質問をさせてもらう。
 だが、それだとフェアじゃない。その前にそちらの質問を3つ聞こう」


口は優しく言っているつもりだろうが、刃はこちらに向けたままだ。
彼に疑われている事実には変わりない。


「まず、一つ目」


「・・・ここはどこかしら??」


慌て言葉に出す。


「地下の大空洞だ。廃神社の真下にあるやつだ」


彼は冷静に返す。


「二つ目」


彼の言葉に圧力を感じる。
このままだと泣き出しそうだ。わたしはひたすらその泣き出しそうな気持ちを堪えた。


「なんで、他のところは真っ暗なのにここだけ明るいのかしら?」


我ながらに頭を冷せるような質問ができたつもりになってた。

「この辺りはホタル草が植えてある。熱を与えれば光を発する」


なんか気になる言葉が出てきたが今は聞く気にもなれない。


「三つ目」


このときの言葉は決まっていた。


「・・・・わたしはどうなるのかしら?」


彼はわたしを睨み付けながら応えた。


「・・・・それはお前次第だ」


これで泣き出そうとしたら刺されるかもしれない。
まずは大人しく従おう、それしか生きる道はない、多分。


「さぁ、こちらの番だ。まず、一つ目、一人か?」


誰かと一緒にきたかと聞きたいらしい。


「・・・・一人。学校からここに来るまで・・・・でも、弟さんに会った」


ーーー本当のことだから仕方ない。



「・・・・麻人はノーカンだ。まぁ、いい。二つ目、課題か?」


これはわたしが学校の課題でここにいるとでも聞きたいのだろう。
落ち着いて本当のことを言おう、多分伝わるハズだ。


「課題?わたしがこんなところに行くようなのを選ぶと思う?んなわけないじゃん。まさか、こないだ大泣きしたのを忘れたとは言わせないわよ」


わたしは一息ついて本音を吐き出す。


「もし、こういう事態になったらわたしはあなたをジュース3本くらいで雇うわよ。
 わたしはあなたをやーとーいーまーすー!」


ーーーーあぁ、スッキリした。


「・・・・・そこはデートじゃねぇのかよ」


彼は悪態を付きながら刃を収めた。
またもや聞き捨てならない言葉が聞こえたが気にしない。



「あれ??三つ目の質問は??」


わたしはいきなりの態度の変化に戸惑いを覚えた。


「間違いない。オレの知っている優等生サマだ。
 オレとお前しか知らないことを言ってくるとはな。
 後、強いて言えばオレの記憶よりグラマラスなんだが・・・・」


・・・・グラマラス??
そう言えば胸元を凄くジロジロ見られた気が・・・・・


そう言えば胸元の感覚がおかしいような気がしていたが、
気が動転してそれどころじゃなかったし。


ゆっくり自分の胸元に視線を落とした。
さっき引きずり込まれた時に擦りつけられたのかシャツに泥が付いている。
悲しい事にブラのホックが外れていた


・・・・今日、フロントホックのブラをしていたんだよね、わたし。


「ごめん。後ろを向いて。何も言わず、後ろを向いて」


彼は後ろを向いて問いかけた。


「これでいいか?」


「いいって言うまでこっち向かないでよ」


わたしはいそいそと着衣の乱れを直した。
もちろんブラのホックもきちんと止め直した。


「・・・・いいわよ」


彼はこっちを向いた。


「あぁ、オレの記憶通りのいつもの優等生サマだ」





とりあえずお互いの中にあった緊張感は解けた。


「オレには何も聞かなくていいのか?」


「聞くも何もここから出ない限りどうしようもないもん」


彼は少し考え込むと違和感に気付いた。


「・・・・ところでそのなりはなんだ?」


「学校。長期休み前の連絡事項だけだったけど」


「・・・・え?今日学校だった?」


「うん、長期休みは明日からだけど」


彼はあちゃー、やっちまったよと言いたいばかりに頭を押さえる。
まぁ、自分が普段着対し、わたしが制服を着ている時点で
怪しいと思うべきだったかもしれないが、今になってはどうでもいいことだ。



ーーーー多分勘違いしてなければ行くつもりだったな、この様子だと。


わたしは息をゆっくり吐き出すと座り込みたくなる衝動に駆られた。
さすがにパンツが見えるかもしれないから踏みとどまった。


ーーーーよかった。ただの勘違いで。


安心はしているが自分の中で振り上げた拳の行き場を失い、全身に疲れが巡る。


「疲れたー。家帰って寝たい」


「流石に優等生サマもお疲れのようだな・・・・」



・・・・ぐりゅるるる・・・


獣の唸り声みたいな音が聞こえた。


「・・・・今の音、何?」


「気が抜けたら腹が減った」


彼はばつ悪そうに言った。
わたしは疲れのあまり何も言う気力はない。


ーーーそう言えば・・・


「さっきここに来るときに買ったのがあるから、よかったらたべる?」


「いいのか?」


「・・・・うん」


わたしは座り込んでカバンの中を取り出すと
自分が今食べたいものと飲みたいものだけを手元に置いてすべて彼に渡した。
一緒に買った飲み物も作ったお菓子もだ。


疲れのせいだろうか、今はあまり食欲はないのだ。
その様子を見て彼は心配したのか、お菓子の方をいくつかわたしに渡す。
何かいろいろ聞かれたが構わないとしか答える気力はなかった。



「・・・・さて、腹も満たされたことだし、本題に入ろう」


わたしは貰っていた抹茶ラテを啜りながら頷いた。
なんやかんやで飲んでいたので残っているのが後、一本になった。


ーーーー残りの一本は帰りに飲もう。



「ここまでどうやってきた?理由は必要ない。
 大事なのは経緯だ。まずはバスを降りた。ここからがスタートだ」

今啜っていた抹茶ラテを飲み干すと記憶を呼びお越し、口にした。


「・・・・まず、弟さんに会った。話もした」


「次だ」


「目的地に向かおうとしたよ。向かおうとしたのは間違いない。
そして廃神社を通らないようにしていた。なのに、気がついたら廃神社の前にいて」


彼の顔がだんだん青ざめていくのがわかるが、こればかりは続けるしかない。


「戻ったけどやっぱり廃神社の辺りに出て。
 何回か試してみたけど廃神社のところに出て。
 デバイスもおかしくなって・・・
 怖くなって駆け出そうとしたら何者かに足を捕まれて、
 気がついたら真っ暗なところにいて・・・」


「もういい。捕まれたところはどこだ!?見せろ!!」


彼も感情を抑えるので一杯一杯であろう。声を荒げた。

「待って。自分で見て確認する・・・・」


わたしは恐る恐る自分の右足のふくらはぎを確認した。
今は靴下を履いているからなんともないが、靴下を捲ると黒い手のような痣。
明らかに人間のての形ではない。


全身に恐怖が巡る。


「・・・どうしよう・・・」


わたしは彼にその痣を見せた。


「・・・・くっ。オレならまだしも、何も出来ない聖羅に・・・・」


どうしょうもない感情を抑えきれないのだろう。
彼は右手を血が滲むまで強く握り締めた。


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