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だらだらつれづれと。
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久し振りのその6
わたしは本能的に悟った。 ----ヤバい!! これはヤバいぞ! 頭に血が昇っている。しかも、我を間違いなく見失いかけている・・・!? 彼は自分の右手から血を滲ませてからずっと後悔の念やら怨み言やら口走っている。 こないだの鳥人間の時とか自分を責めまくっていたし、 この勢いだとどうにもできない領域になりかねないと言うか確定。 わたしは心を押し潰している恐怖を全て飲み込み勢いで声を発した。 「・・・・待った!」 彼はそっぽ向いて怨み言を言うのをやめてわたしの方を向いた。 「ぐだぐだ言ったところで仕方がないよ。 さっきのこと、もちろん覚えているよね? 渡した分のうち、一つや二つはわたしが食べるべきだったかもしれない」 わたしは息を大きく吸い込んだ 「それをしなかったのは舞月真人、わたしはあなたを信じてるからよ。だから・・・・」 ----しまった!?言ったのはいいけどまとまらない。 「・・・・わかってる。だが、オレの腹の虫が治まらない」 「そんなの、飲み込んで目の前の事に集中しなさい」 思わず子供に言い聞かせるように言う。 ----悲しいことにこんな時の反射神経はいい 「・・・これだけは言わせてもらうぞ。 聖羅、お前はオレの帰ってくる日常だ。・・・・ちゃんとここから脱出させてやる」 「わたしも言っちゃうけどわたしの日常はあなたがいる日常なの。ちゃんと帰ってこないと怒るわよ」 彼に向かってにんまり笑う。 「・・・・ったく面倒なやつだ」 個人的には言い返したいが限界だ。 「・・・・ごめん。そろそろ限界」 「おい!!しっかりしろ」 「そんだけ冷静なら大丈夫。 ・・・・約束、守ってくんないと怒るから。 まぁ、後は煮るなり焼くなりでお好きに」 実を言えば体力の消耗もそうだが、このところ寝不足もあって眠気が限界なのだ。 緊急事態と言えども 全力で命の危険がおよんでいるものでなければ寝てしまうほど わたしは悲しいことに体力がないのだ。 ----彼には悪いが、少しだけ休ませていただこう。 わたしは目を閉じると瞬く間に夢の世界に旅立った。 真っ暗の中、意識は沈んでいく。 背中の辺りに春の日だまりに包まれているような暖かさを感じる。心の奥から感じる安心感。 なんて心地いい気分だろう。 ・・・・・ 冷たい空気。殺意に溢れた空間。 恐怖と悲しみがそこに内包されている。 「やめろ!やめてくれ!! このまま、オレと一緒にこいつを斬れ!!! 斬ってくれ!!頼む・・・・頼むからよう・・・・」 幼い少年が骸骨でできた棺桶を立たせたような空間に閉じ込められており、 彼は叫びながら懇願している。 泣きそうにはなっているが涙は流していない。 わたしはこの微妙に明るい空間をふよふよ浮いている。 ----誰かの記憶? 今何故こんな夢を見ているのかは考えるのはやめよう。 問題はこの夢の状況だ。 まず少年が骸骨の化け物に捕まっている。 骸骨の化け物の前には一人の男が立っていた。 男の方は20代後半から30代くらいだろうか? 少なくともわたしより10才以上は年上だ。 そして、なんとなくだがこの二人似ている。 ----親子? 男の回りには3体ほどの骸骨。男の子を捕らえている骸骨の化け物よりは弱そうだ。 男はじっと睨み付けている。 「息子がかわいくないのか?刀の男よ」 骸骨の化け物が笑いながら手を叩く。 それを合図として骸骨達が男に襲いかかる。 反撃することなく刀で防御しているが防御しきれず、骸骨の攻撃を受けてしまう。 身体が突き飛ばされ、フラフラしながら立ち上がる。 「ハハハハ!!そうでないと楽しめないぞ!もっとやれ!殺してしまえ!!」 骸骨の化け物は笑い声をあげながら骸骨達に命令を下す。 「卑怯もの!!もういい!!やれよ!!オレごとやってくれ!!!」 囚われた少年が叫ぶ。 聞こえているかどうかはわからないが男は反応しない。 「黙れ!往生際が悪いやつだ!!」 少年のいる空間の中に紐のようなものが伸びて少年の首を絞める。 化け物が少年に夢中になっている間に 骸骨達の足元に植物の根のようなものが生え、そして根は骸骨達の動きを封じる。 そして、音も立てることもなく骸骨達は砂になって消えた。 一方少年の方は首を絞められそうになってひたすら紐を両手で握り、 足をじたばたさせて暴れている。 しかし、骸骨達が砂になる様を見届けると、ニッと笑った。 そして、彼の首に巻き付いてきた紐に火が着いた。 「真人!!徒に力を使うな!!」 紐は切れると同時に火は消えた。 少年は息苦しそうにしている。 彼の閉じ込められている空間の空気がかなり少なくなってきたのだろう。 多分、幾度となく叫んできたせいだろう。 ----あの子供が真人ってことは男の方は真人のお父さんってことね・・・・ 「愚かものが。わざわざ自分の首を絞めることをするとはな」 男は骸骨の化け物を睨み付け、黙ったまま刀を構えた。 その身体は傷だらけでフラフラしている。 おそらくあの骸骨達にやられたせいだろう。 一方少年の方は空間の空気がかなり少ないため、もう息絶え絶えだ。 このままだと二人とも死んでしまう。 そう思った刹那、奇跡が起こった。 突然、骸骨の化け物に光が襲いかかった。 光と言うより複数の狐だった、それも10匹はいた。 骸骨の化け物が身体の中に作っていた空間が破壊された。その隙に少年は急いで逃げ出した。 少年は直ぐに父親の近くの物陰に隠れた。彼はそこで息を整えていた。 骸骨に襲いかかった狐達のうちの何匹かは少年を守るように彼を囲っている。 「・・・狐どもめ!!!」 骸骨の怒りの声が響く。頭がキーンとする。少年とその父親は急いで耳を塞ぐ。 ----カラカラ。 軽い音。骸骨の頭の中に何か石のようなものが見える。 ----石にしては規則正しい形をしている宝石の類だろうか? 何かわからないけど頭の中にそれが浮いているのが見えるのだ。 ----まさか、この石みたいなのが弱点だったりして。 事実の確認は取れないまま、この戦いは刀の男の一撃で終わりを告げることになる。 少年が物陰に隠れると同じタイミングで骸骨の化け物の足元には植物の根が生えた。 「---!? 馬鹿な!!ぐわぁぁぁぁぁ!!!!」 そして強烈な光が現れ化け物は悲鳴をあげる。 ----斬ッ 化け物は男(真人の父親)の一撃で真っ二つになった。 そして化け物は砂になって消えた。 しかし、その足元だった場所にはさっきわたしが見つけた奇妙な何かがあった。 ----なんか嫌な予感がする。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 二人は顔は合わせるが会話をする様子がない。 仲は然程良くないようだ。 男の方が先に去り子供の方が残される、いや、自分で残ったのだろう。 しばらく経つと彼は声を荒げた。その内容は父親に対する不満だった。 一頻り父親に対する不満を吐き出した後、彼は大声で泣き出した。 彼には怖いとかそういう感情より自分の弱さや考えの甘さ、後悔の気持ちの方が強かった。 しばらく経つと少年は涙を拭い、走り去っていった。 ----立ち直ったみたいでよかった。 ・・・・・ククク・・・・・ なんか不気味な笑い声がする。はっきり響いている。 この夢はここで終わった。 PR コメントを投稿する
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