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だらだらつれづれと。
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久し振りのその7
「・・・・くるにゃーん」 それと目に入ったのは毛がふわふわしている大きな黒い猫。 -----え?猫??? わたしは身体を起こした。 ----かわいい!!! 初めて見るがすごくかわいい! 触りたい!触らせてくれるのだろうか? 「・・・・ねこちゃん、おいでー」 「ぷるにゃー」 可愛く鳴きながらわたしの近くに寄ってくる。 思わず手を伸ばし、頭を撫でる。なんかふわふわして落ち着くが気持ちが高揚する。 「くんくん・・・ご主人の臭いがするんですにゃん」 「そっかそっか、ご主人の臭いがするのね」 ----ご主人って誰だろう? かく言うわたしと同じ空間にいた真人は少し離れたところでうつらうつらしていた。 彼もなんだかんだで疲れたのだろう。 「どこから来たの?」 「企業秘密ですにゃん」 「内緒なのねー」 わたしはそのまま猫と戯れる。 「なんでこんなところにいるの?」 「ご主人に頼まれたからですにゃ」 「そっかそっか。んで、そのご主人って・・・・」 「おいおい、優等生サマ、死にかけで倒れてた割に元気だな?」 不機嫌そうな男の声が聞こえる。 ふと振り向くと怒りに溢れた彼の表情が見えた。 あまりにも見たくないものなのでわたしはねこちゃんの方を向く。 ----あぁ、怒ってるな、間違いなく。当たり前といえども。 「ケッ。ケダモノと称したオレ様の横で無防備に寝てくれるとは見上げた根性だな。 お陰様でたつものもたたなかったぜ?」 ここまで来ると感情が一周して自棄になっているのがわかる。 その言葉が冗談なのかどうかはとにかくだ。 今、わたしの頭の中では真人の存在は全力無視である (ますます彼の怒りを買うのは間違いないが)。 「このご主人、嘘が下手くそですにゃん」 目をぱちくりさせながら、ねこちゃんはいった。 ねこちゃん、ツッコミが冷静過ぎる。 ん?ねこちゃんのご主人は複数いるのだろうか? 「ねこちゃん」 「なんですにゃん?」 「ねこちゃんのご主人って複数いるの?」 「ですにゃん。一人はあの人ですにゃ」 ねこちゃんは真人の方に身体を向けると、 近くに寄ってお腹を見せてゴロゴロ寝転び始める。 ----大丈夫なのか?それ? 「ご主人ー、頼まれものをしたんですにゃん。褒め称えるんですにゃん」 くねくねと身体をすりすりしている。ちょっと羨ましい。 「なんだ?媚売っているのか?」 わたしの心配をよそに彼自身はただ悪くは思ってないのか、 ねこちゃんのお腹の辺りをわしゃわしゃ荒っぽく撫でている。 「違うと思う。なんか頼まれものをしたって」 「・・・・」 彼は周りを見て箱のようなものを見つけ、それの中身を確認し始める。 「・・・あのご主人、こっちの言っていることわからないから助かったですにゃ」 「いえいえ。ねこちゃんに会えただけでも わたしにとっては幸せを貰えたものだから気にしないで。 そういえば、言って欲しいこととかあるの?」 「いいのかにゃ!?じゃ、次ご飯くれる時は ミルクに鰹節をかけたものをいいって言って欲しいですにゃ!!!」 ねこちゃんは興奮しながら訴えた。 「わかった!言っておくわ」 「そろそろお家に帰って寝るんですにゃん。おいとまするんですにゃん」 「バイバイー!ねこちゃん、またね!」 ねこちゃんは身体を起こし、そのまま姿を消した。 わたしはねこちゃんの姿が見えなくなるまで手を振っていた。 ねこちゃんを見送った後、わたしは現実と向き合わなければならなかった。 さて、現実と言うのはわたしの目の前にいる男のことである。 さすがに怒るのは面倒なのか、彼は至って冷静だ。 「言っておくがお前と話していたの、猫じゃないぞ」 「・・・・どういうこと?」 わたしは首をかしげる。 「そもそも猫って人の言葉をしゃべるか?さっき何も疑いもなく会話してたようだが」 「猫って人の言葉をわかって人の言葉を話できる不思議な生き物じゃないの?」 「どこの漫画の世界だ?それ?よくよく考えてみろ。何を話していた?」 「えーと、まずミルクに鰹節をかけたものが食べたい」 「要望じゃない」 わたしはねこちゃんが言っていた事を思い出した。 「・・・・あのご主人、こっちの言っていることわからない・・・・」 「それをおかしいと思わなかったのか?」 「全然」 彼は片手で額を抑えて息を大きくつく。 わたしは彼の様子を見て戸惑いを覚えた。 「いや、知らないのは恐ろしい・・・」 わたしは事態を飲み込めないまま、彼は続ける。 「まずは大事なことを言うと悪いやつじゃない」 彼はわたしがとにかくパニックに陥らないように言葉を選び始めた。 「悪いやつじゃない?」 「あぁ、ここの神社の氏神様だ。 つまり、この神社に本来奉られていた神様だ。オレはねこ神様と呼んでいるが」 「ねこ神様?」 「そうだ。前から気になっていたことだが、まさかオレより見える?聞こえる?」 「・・・・なんの事?」 わたしは彼の言っていることが理解できなかった。 「鳥人間の話の時からおかしいと思ってた。 何故あいつらの言っていることが判るんだ?ねこ神様との会話で確信に変わったんだ」 「わかんない」 「わかんないって、まぁ、仕方ない。 言っておくが、お前みたいな半端者は 鳥人間とかここに巣食っている奴等とかにとっては最高級のご馳走だ」 「・・・つまりそれって・・・?」 「優等生サマ、今後の事は後でゆっくり話し合おうか?」 「そうだね、今はここから出る方が大事だし」 「さぁ、まずは勝手ながらだが 足のやつはオレが丁重に焼いて置いた。もちろん、後処理はしてる」 「焼いた?」 言われた事を理解できないまま、右足の方を見る。 右足のふくらはぎには何か貼られており、その上から包帯が綺麗に巻かれている。 独特の臭いがするがおそらく何かの薬だろう。 かなり多く塗られている気がする。 右足を恐る恐る動かしてみる。 痛みは感じるが、動かせないと言うことはない。 「治るまで最低一週間かかる。後、傷口自体はしばらく見ない方がいい」 わたしは茫然としている。 「・・・痛みはあるけどまぁ、動ける」 言うべき事は言えたと信じている。 「ごめん。話が跳んで何がなんやら・・・」 「今は無理に理解しなくていい」 彼はわたしになにかを投げて渡した。 「多少元気になってきているから腹も減ってきていることだろう」 ついでに言わんがばかりにリサイクルボトルの飲み物も差し出す。 「後、紅茶だ。飲むか?」 わたしはこくりと頷いた。 PR コメントを投稿する
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